『イノセンス After the long goodbye 』 山田正紀
読むのは二度目である。映画イノセンスの数日前の出来事。とにかく切ない。全てが切ない。 この小説の主人公はバトーだが、漫画版とも、映画版とも、テレビ版とも違うバトーである。
ハードボイルドな骨格にセンチメンタルな筋肉を着けた様なバトーさん。映画版程には枯れていない。映画版の枯れ果て、ひねてしまったバトーも可愛らしくて好きだが、小説版の透明感の有るバトーの方が、『イノセンス』のタイトルに相応しいと思う。
現実の男はどうしてこうでないのか⁉
表紙のイラストも、小説版バトーのイメージに良く合っていてよろしい。
作者の暖かい眼差しが全編にわたって投げかけられているような、そんな小説。