『陰陽師』夢枕獏
岡野玲子の漫画では読んだことはあったが、夢枕獏の原作は読んだことが無かったので、買ってみた。
漫画と同じようにとても読みやすい。晴明や博雅の姿は漫画版の姿で脳内で再現される。(笑)
陰陽師は、登場人物が少ないので、混乱せずにサラッと読めるのが良いところだ。
陰陽師に登場する鬼やあやかしのものたちは、元は人間である。何らかのやりきれぬ想いが積もって、鬼となるのだ。 西洋の悪魔退治であれば、正義の側が有無を言わさず悪魔を退治してメデタシメデタシなのだが、こちらは日本なのである。仕方なく鬼と化した哀れな霊達の、凝り固まった魂を、陰陽師の技法を使って解放してやるのである。善悪の問題では無いのだ。
全体的にまったりとしていて、平安時代の緩やかな時間が流れている様である。鬼ですら経済活動に組み込まれてしまいそうな非情な現代社会を忘れさせてくれる。
- 作者: 夢枕獏
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1991/02/01
- メディア: 文庫
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