kotsulisのレース編み blog

チクチクレース編みの日々。

魂を運ぶ

今から20年以上前の事。美大に通うことになり、東京のアパートで独り暮らしをしていた。

ある夜、布団のなかで夢とも現ともよくわからないような、金縛りのような状態になった。体がフワフワと浮くような感じがする。暗い部屋の中で、足元にいくつもの緑色に発光する勾玉の様なものがあるので、拾い集めると、体がどんどん上へと浮かんで行く。

床の方に目をやると、白い着物を着た髪の長い若い女性が正座していた。

「あれは拾わなくていいの?」

と聞く。言われた方を見ると、勾玉が一つ、床に落ちている。私は

「あれはお父さんだから、拾わなくていいの」

と答え、どんどん上へと上昇していく。

……という、(多分)夢を見た。汗びっしょりだった。目が覚めて、ああ、あの光るものは人の魂なんだな、などと思った。

しかし、あそこで父の魂を拾っていたら、どういう事になったのだろうか?

私は、生きている状態でも、すでに亡くなっている状態でも、高級界のバイトのように、人の魂を護送している人は結構いるのではないか、と思っている。